今月のトップラン vol.32 里 菜央選手インタビュー
思い切って楽しんだ結果 全米オープンジュニアダブルス準優勝
アメリカの大学へ進学が決定しました!
2023年3月に開催された「第45回全国選抜高校テニス大会」の個人戦女子シングルスで優勝したのが、相生学院高等学校女子テニス部の里 菜央(さと ななか)選手。同大会で優勝したことで、今年8月下旬から行われた全米オープンジュニアへの出場権を獲得。大会ではダブルスで準優勝、シングルスは予選を勝ち抜いて本戦の2回戦へ進出し、ベスト32の結果を残しました。
全米オープンジュニアへの出場を決めたのは、相生学院では今年プロ転向を表明した菊池裕太選手に続く2人目、シングルスで本戦の1回戦を勝ち抜き、ダブルスで準優勝したのは里選手がはじめてです。
これまで海外遠征の経験はなく、相生学院の部活動で自身のスキルを磨いてきた里選手。彼女の活躍は、部活動を頑張るすべての高校生に大きな夢を与えています。
◆ 「周りを信じ、テニスを楽しむ」気持ちが自身のテニスを変えた
ー全米オープンジュニアに出場!海外に行くのははじめて?
海外に行くこと自体がはじめて。もともと海外にはそんなに興味がなかったので、海外遠征や留学を考えたことはありませんでした。ただ今回全米オープンジュニアに出場できることになり、2週間アメリカ・ニューヨークに滞在。世界がものすごく広がりました。
ー今年の全国選抜個人戦で優勝。全米オープンジュニアの出場権を獲得しました。
実は1年生のときも全国選抜個人戦に出場したのですが、そのときは準決勝で敗退。あと1歩のところで優勝を逃し、とにかく悔しくて、あのときばかりは泣きそうになりました。なんとか涙をこらえて1年後のリベンジを誓い、今年3月の全国選抜で優勝。すごくうれしかったですね。
ー1年間、優勝するために心がけたことは?
何も特別なことはしていませんが、テニスに対する意識は1年の間で変わりましたね。1年生の頃は、「とにかく自分が頑張らないと…」という想いでいましたが、2年生になった頃から「周りを信じよう」とか「テニスを楽しもう」いう気持ちが芽生えてきて、それが良い方向に働いたのかなと感じています。
◆ 初の海外遠征 ダブルスは全試合楽しめました!
ー全米オープンジュニアでもテニスを楽しみましたか?
正直なところ、シングルスは「気負わずラクに行けば勝てたかも」とか「自分からもっと攻めればよかった」と今でも少し後悔があります。でもダブルスは、全試合楽しくプレーできましたね!試合前から、「こんなチャンスめったにないから楽しくやろう!」と自然に思えていました。
ー全米オープンジュニアでの活躍を受けて、アメリカ留学が決まったそうですね!
全米オープンジュニアで勝ち上がったことで、アメリカの大学からたくさんオファーをいただきました。シングルス予選1回戦の相手がシード権を持つ選手で、その人に勝ったことで「あれは誰?」となったようです(笑)。
ー留学に迷いはなかった?
渡米するまでは、国内の大学への進学を考えていたので、進路の変更はかなり悩みました。でも進学を決めたアメリカの大学は、勉強にも力を入れていて、自分にとっていろいろプラスになると思ったので、親とも相談して留学を決断。奨学金等を大学から出してもらえるので、少しは親孝行できるかなと思います。
◆ 空振りばかりでやめたいと思っていたテニス 人生は何が起こるか分からない!
ーテニスを始めたきっかけは?
小さい頃の私はぽっちゃり体型。少し運動させた方がいいと考えた親のすすめで、5歳のときに地元のテニスクラブに入りました。でも最初は空振りばかりで、クラブの中では1番下手だったんじゃないかな。「やめたい」と親に訴えたこともありましたが、すぐに却下されましたね(笑)。
ー相生学院を選んだ理由を教えてください。
中学1年のとき、トップランの石守校で開催されたIMGディスカバリーオープンの日本予選大会に参加しました。当時、相生学院の選手にヒッティングをしてもらってすごく楽しかったし、部の雰囲気が良かったので、「テニスをするなら相生!」と思っていました。だから中学3年で体験に参加した後、すぐに入学を決めました。
ー相生学院の3年間で一番思い出に残っていることは?
個人戦でも団体戦でも優勝できたこと!今年の春は全国選抜の個人戦で、夏のインターハイ「北海道総体2023」では団体戦で優勝できました。それが全米オープンジュニアへの出場にまでつながった…人生って何が起こるか分からないですね。
ー一番大変だったことは?
やっぱり親がいない生活かな…今まではテニスの練習から帰るとごはんが用意されていたし、服も脱げばいつの間にか洗濯されてキレイになっていました。でも寮ではそうはいきません。
しかも毎月親が振り込んでくれるお金は自分で使い道を決められるとあって、ついつい大好きなお菓子を買うことに使ってしまい、体重が…。監督から「お菓子禁止令」が出されたこともありました(笑)。
◆ これからも私は私らしく 自分の芯になっているものは変えずに頑張りたい!
ー相生学院女子テニス部のインタビューでは「お札にのるのが夢!」と話していました。
現役お札(生きている間にお札に載ること)のために何をするかはまだ考え中です(笑)。
ただ大きな夢を叶える前段階の目標は、全米選手権で優勝すること。そうすれば今度はプロの選手が出場する全米オープンに行けるので、頑張りたいですね!
ーアメリカに行ってテニスに対する考え方や価値観は変わりましたか?
それはあまり変わらないかも…。
というより、すごく広い世界を見て、これまでの自分を変えてはいけないと考えるようになりました。変え過ぎたら自分がおかしくなる気がして。だから今まで通り「私は私らしく」という、自分の信念みたいなものをしっかり持ち続けていようと思っています。
ー里さんから見て相生学院テニス部はどんなところですか?
優しくていい人ばっかりがいるところ、という感じかな。全米オープンジュニアに出場したときも相生の仲間が毎日激励のメッセージを送ってくれたり、夏のインターハイでも、団体戦の決勝で負けて、悔しい思いでいっぱいだったはずの男子チームが、女子の応援に駆けつけてくれたり、みんな本当に最高だなって感じました。
私は昔、写真を撮るときに笑えなくて、「もっと笑って!」と怒られていたのですが、ここに来てからは「笑顔をつくるのが上手い」なんて言われるように。いい人に恵まれて、可愛く笑えるようになったみたいです(笑)。
丸尾監督より
入学当初から、練習やテニスに対する姿勢がとても良く、決して手を抜かないタイプでした。こちらがアドバイスすれば、それを実戦に生かす努力を怠らない一面もありました。どうストレスを発散させようかとこちらが心配するほどでしたね。
だから今回の全米オープンジュニアも、出るべくして出た結果と言えるのかもしれません。ダブルス準優勝やシングルスベスト32は、国際試合を転戦する経験豊富な選手でも成し遂げるのが難しいこと。それを日々の部活の練習に励むことでやり遂げたのですから、今部活をやっている高校生たちに大きな夢を与えましたよね。
これからは、あまりプレッシャーをかけないように、活躍をそっと見守りつつ、応援していこうと思っています。
トップランの良さを間近で見て、様々な経験を積んできたので、そういうことを生かして今後はいろいろな場所で活躍してほしいです。テニスが好きだという気持ちはずっと続いていくと思うので、テニスの楽しさを相生学院の魅力とともに伝えてもらえればうれしいですね。
プロフィール
里 菜央(さと ななか)選手
静岡県出身。5歳から中学3年生まで地元のテニスクラブに所属。その後相生学院へ。
全米オープンでは、シングルスで予選&本戦の1回戦を勝ち抜きベスト32。シングルスの予選を勝ち抜いたことで、急遽ダブルスに出場が決まった里選手は、声をかけた選手みんなにふられて困っていたそう。そんなときパートナーが怪我で欠場し、相手を探していた斎藤咲良選手に声をかけられ、エントリー締め切り直前でペアを結成。「急造ペア」ながら息を合わせ、見事準優勝を果たしました!
USオープンを振り返りながら「試合は咲良ちゃんが引っ張ってくれて、私はボレーをした記憶しかない!」と、インタビューでは控えめなコメントをしつつ、トレードマークの笑顔を見せてくれた里選手。お札に載る夢が叶う日はそう遠くないかもしれません!
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